紙の色褪せの原因と対処法
9月に入り秋の気配を感じ始める頃ですが、残暑ではなく『残猛暑』という言葉がテレビで放送されるくらい、東京は暑い日が続いています。私は毎年夏の時期は学生の頃から続けているビーチバレーで日焼けするのですが、紙製品にとっても日焼け(紙焼け)しやすい時期になります。
紙焼け(かみやけ)という言葉を聞きなれない方が多いかと思いますが、紙業界では太陽や蛍光灯等の照明器具の光で紙が変色することを紙焼けと呼んでいます。
お気に入りの本や大切な写真、子供が描いた絵などを久しぶりに見たら、なんだか色が薄くなっていた・・・。そんな経験はありませんか?紙が時間の経過とともに色褪せてしまうのは紙焼けによるものもありますが、実はそれ以外にも紙を劣化させる原因があります。
今回は紙が色褪せてしまう主な原因と対策をご紹介します。
1.紫外線
紫外線は紙の主成分であるセルロースや、インクに含まれる色素を化学的に分解してしまうため、紙が黄ばんだり、印刷された色が薄くなったりする原因となります。
特に窓際や光が直接当たる場所に置かれたものは、影響を受けやすくなります。

上の写真は、当社のショーケースに夏季限定で展示している紙製の朝顔(右)と加工前の紙(左)を並べたものです。日差しで色褪せてしまいました。
【対策】
・直射日光が当たらない場所に保管する
・UVカット機能のあるガラスやアクリル板で額装する。
・カーテンやブラインドで光を遮る
2.空気中の化学物質
たばこの煙や排気ガス、家の建材から発生するガスなど、空気中には様々な化学物質が漂っています。これらの物質が紙の繊維と反応することで酸化を促進し、紙を劣化させます。また、湿度の高い環境もカビの発生を促し、紙を傷める原因になります。

↑こちらは当社店外に出しているチョークボードに貼ってあった葉っぱ(右)と加工前の紙(左)を並べたものです。
道路に面しており直射日光と排気ガスで約2ヵ月でこのような色に・・・。
急な雨で濡れてしまったこともあるのでシミもあります。触るとプラスチックのようにパリパリな状態に。
【対策】
・空気がきれいで、換気がしやすい場所に保管する。
・湿気の少ない場所を選ぶ。
・乾燥剤や除湿剤と一緒に保管する。
3.紙自体の品質
紙の原料である木材パルプには、リグニンという成分が含まれています。このリグニンは、光や空気に触れると酸化し、紙を茶色く変色させる性質があります。安価な紙や新聞紙は、このリグニンを多く含む為、特に色褪せや黄ばみがおこりやすくなっています。
【対策】
・長期保存したいものは、リグニンを含まない中性紙を選ぶ。
・中性紙のクリアファイルや保存箱に入れて保管する。
※当社で保存用の紙の取り扱いがございます。ご興味のある方はお問い合わせください。
大切なものを守るために
大切な思い出や価値ある書類をいつまでも良い状態で保つためには、保管する環境を見直すことがとても重要です。
今日からできる小さな対策をぜひお試しください。
(I)