紙好き、紙業界人にはたまらない小説!?「紙鑑定士の事件ファイル」を読みました。

先日、新聞を読んでいたら「2020年このミステリーがすごい」の大賞作品の紹介広告がありました。普段なら広告は見過ごしてしまうのですが、業界柄、「紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人」という小説のタイトルが目に留まりました。

「紙鑑定士」とか「証拠となる手紙つき」とか「その紙が答えを知っている」とか、紙屋としては気になってしょうがない言葉が並んでいたので、早速購入し読んでみました。ざっくりあらすじを言うと、「個人経営の紙屋がプロプラモデル造形家とコンビを組んで殺人事件を解決する」というミステリーです。

この小説はタイトルからの想像通り、紙好きや紙業界人には「たまらない本」になっています。
紙業界ではよく聞く、なじみの紙がちょくちょく出てきて心がくすぐられ、紙好きや紙の業界人なら数割増しで楽しめると思います。そして本文には4種類の紙が使用されていて、こちらも凝った製本だと感心しました。内容を読み返すためにではなく、紙の手ざわりを確認するためにページを行ったり来たりしたのは初めてです。

内容は詳しく書けないのですが、もう一人主人公であるプラモデル造形家のクセの強さと(もしかしたらプラモデル好きにも楽しめる内容かもしれません。)そしてこの二人のいいコンビネーションが絶妙で、ミステリーとしてとても面白く読めました。

紙好きの皆さん。読まれてみてはいかがでしょうか。

(T)